nyfintechのブログ

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FinTech 企業紹介: 短期の貸借にPeer-to-Peerマーケットを提供するLMX  

FinTech関連のニュースメディアのDigFin Groupが5/1にLMX(正式にはLiquidity Market Place)が米国市場で短期金融のP2Pマーケットプラットフォームをリリースすると報道した。ニュースによると、米国のウエストコーストにある2つの Tech企業と中国・スイスの銀行間でのパイロット的なやりとりのようであるが、CEOのThomas Schickler曰く、今後は銀行やノンバンクのヘッジファンドなど、参加者が増えることでよりプラットフォームも充実していくだろうとと述べている。

 

LMXが対象としているのは、約$7兆もの規模の残高がある企業や金融機関も含めた短期金融市場(短期の貸付・借入れ)である。記事によると、バーゼル3などの金融規制により、銀行のレバレッジや流動性比率などを細かく管理する必要性が出てきたことにより、短期での貸付が減り、短期金融市場の流動性が低くなっている。そのため、借入れをしたい企業は高い金利で借入れをする必要があり、またCPなどの短期金融資産に投資したい投資家は流動性が低いためより高い手数料・スプレッドを払っての取引が必要となっている。

 

そうした現状に対し、LMXは仲介業者(証券会社や銀行)を介さないSTABLという取引のプラットフォームを作った。これは、参加者(企業や銀行)が一つの契約書をサインしり、それぞれが無担保ローンを貸借するというプラットフォームである。メリットとしては、 流動性の高い企業であれば、取引の両サイドに対して、取引額の約1bps – 5bpsという通常より安い料金で取引が可能となり、さらに流動性が確保されている点である。また、例えば米国で運営する外国銀行なども、新しい取引先を見つけるという使い方もある。

 

LMXはアジアを中心にビジネスを広げてきており、今後は米国市場での拡大を狙っている。今までに約 $3Mの投資をJavelin Startup-O Victory Fundなどから 得ているそうであるが、今後どうやってBloomberg やTradewebなど、大手との競争を乗り越えて、成功していくか注目である。