nyfintechのブログ

New York在住。FinTech関連の情報をアップしていきます。

FinTech 企業紹介:学生ローンにROIの指標を取り入れた Climb Credit

米国で生活するにあたって、クレジットスコア(FICO Score) は非常に重要だ 。

クレジットスコアは、「クレジットヒストリー」(クレジットカードの支払い、ローン 、携帯電話、公共料金、家賃などの利用や返済の履歴)をベースに算出される個人の信用力を測る指標であり、この良し悪しによって、 マンションの入居、住宅ローン、銀行口座の開設など断られるケースもある。学生ローン(Private Student Loan)もFICO Scoreをベースに審査をされ、平均でも650程度のスコアがないと借りることができないケースがあるそうだ。

 

2014年に、創業したClimb Creditは、そうした十分なクレジットスコアを持たない学生に対し、簡単に、素早く、そしてより低利率でローンを貸し出している。クレジットスコアの代わりに彼らが使用しているのは、 学生が通う大学(現在約70の大学と連携)やプログラムが、どれくらいの卒業率・就職率を持つか、そして初年度の給料やどれくらいの給料の上昇率が望めるかなどのデータである。こういったデータをベースにローンのROIを計算し、Returnの望める学生にのみ融資をしている。

 

米国では、大学卒業後、学生ローンで借金漬けになる学生が多く大きな社会問題となっている。Climb CreditのようにROIの高い大学やプログラムのみにローンを提供するという試みは、学生だけではなく大学に対しても彼らの授業内容やプログラムを見直す、いいきっかけになるのではないだろうか。

FinTech企業紹介:Robinhood

12月13日付の米 Bloombergの記事によると、コミッションフリー(=手数料無料)で株式やETFの取引を可能にしたRobinhood Financial LLCが、近日中に株式オプションの取引を提供すると発表した。


Robinhoodは2013年にVlad Tenevと Baiju Prafulkumar Bhattによって創業された非常に勢いのある米国のFinTech企業の一つである。

Crunchbaseによると2013年から約4年で既に$176Mの資金調達を行い、Google Venturesやラッパーとして有名なSnoop Dogも投資家として参加している大注目の「オンライン証券」である。なお、2017年7月時点での企業評価額は、$1.3Bとのこと
*参照:Vlad Tenevへのインタビュー記事


Robinhoodの何よりの特徴は、手数料無料で株式・ETFの取引ができることである。現状はスマートフォン用のアプリのみの提供で、インターフェースもデザイン性に優れ簡易的、2015年のApple Design Awardに輝いたほどである。他のOnline Brokerで行えるような分析やリサーチの提供などはなく、ニュース、価格情報、取引画面に絞っていて、非常に使いやすいプラットフォームである。(悪く言えば、情報が少ない!)

ただ、本当に簡単に株取引ができるので、Robinhoodが目指す”Buying a stock as quickly as you'd post an Instagram photo”(インスタグラムに写真を投稿するように、素早く株式取引を可能にする)を可能にしているアプリと言えるであろう。

 

気になる収益モデルであるが、唯一の収益源は、Robinhood GoldというGold会員からの会費(月々$10)である。

Gold会員になると、Robinhoodからお金を借りて取引できるようになる(More Buying Power)、Pre/Postの取引時間も取引が可能になる(Extended Hours Trading)そして、すぐに入金できるようになる(Instant Deposits)と云う3つのサービスを受けることができる。*詳細はこちら

 

冒頭で述べた同社のオプション取引のサービスも含め、今後は、このGold会員(パワーユーザー)に対してのサービスの拡張が行われていくと予想される。