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FinTech 企業紹介: AI / MLを活用した新しいHFT

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Domeyardは、孫正義のソフトバンクも投資をしているMITの学生3人がスタートしたヘッジファンドである。今年の1月に日経新聞でも取り上げられたようだが、Domeyardの創業者の一人でもあるChristina Qiのインタビュー記事があり、非常に興味深いので共有する。

 

要約は以下 

  • 創業:創業者の3人は学生時代に金融機関のトレーディングデスクでインターンをしたことはある。そこで、技術を適用する時間が遅いことに問題点を感じていた。また、自分達でも投資をしていて、 技術と金融マーケットの2つに対して情熱があったため、就職をせず、創業を決意。
  • ソフトバンク:(ソフトバンクが中国のレンレンを保有、レンレンがDomeyardの92%を保有していることから間接的に投資していることに対して)WeWorkとUberと同様のポートフォリオに入れられていることはcrazyだと感じている。
    *詳しくは Forbesの記事
  • 投資家について: ファンドのサイズが小さいため、少数のLP投資家にファンドキャパシティを取られてしまうから。投資家を制限している。また、 高い利率を課している。自分たちと同じ長期的なビジョンを共有できる投資家を選んでいる。
  • 取引高:1日約15億ドル
  • 差別化:他のHFTとの差別化 については、マシーンラーニング(ML)とAIを使用している点。殆どのHFTはMLをアルファ創出のためには使用していない。典型的な取引ストラテジーはシンプルなため統計的なモデルはあまり必要ないと考えられているが、私たちはMLを使用することで得られることが多いと考えている。ただ、MLを使用することは非常に難しい。普通の取引ストラテジーの二倍の労力が必要。(速いだけじゃなく、複雑なモデルも必要となるから)Domeyardは、MLを使用して、取引シグナルを常に調整している。また、NLPを使用して、非構造化されているデータを、意味のあるデータにしようとしている。今後HFTは速さよりも、情報処理能力の強いHFTに強み(エッジが出てくる)と思う。今はどこにいても同じような速さのデータが出られる。 速さは少なくともDomeyardが注力している分野ではない。
  • Crypto – もちろん見ているが、ここ数年は取引しない。一年で1000%のリターンは魅力的だが、規制やボラティリティを考えるとリスクが高いと感じる。
  • 長期的なゴール:DomeyardはヘッジファンドよりもFinTech Start upのような気がしている。それはDomeyardがたくさんの知的財産を作ったから、例えば取引プラットフォームや、リスクシステム、フィードハンドラーなどは全て社内で作ったもの。それに対して、投資家が価値を感じてくれているのだと思う。今後このシステムやデータ処理の特徴を生かして、別の分野にも活用できるかと思う。今、取引プラットフォームをライセンス使用させるという話も進んでいる。
  • HFT:HFTの業界の中で、アジアの女性で最も成功しているCEOとしての認識はある。それは、周りの人から特に言われること。自分はHFTに対してのひどい評判を変えたい。そのために会社もフラットな組織にして、それぞれをリーダーとして扱っている。今は、年間2万件や3万件もの応募が来る。これはこのサイズの会社としては非常に多いと思う。